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児童の性的搾取は昔からありました

 

SNSで、日本では近年小児性愛が増えた、という見方をする人がいるのを知りました。確かに子供を騙すネットの悪用が目につきます。AIを使ったリアルな児童ポルノ(日本では児童ポルノではない)も増えています。  

 

しかし昔はなかったかといえば、違うといわざるをえません。

私は昭和生まれで、学生時代指導教授から直接話を聞きました。

貧しい家庭で母親が先立つと、娘が代りに性の相手をする習俗があったということです。例として古い小説が上げられました。

現在は児童とみなされる年齢での買春もありました。

 

今でも見ることのできる文献を上げておきます。

「親になるほど難しいことはない」(1993)に虐待された児童、近親者、ケアに当たった専門家の証言が収録されています。

「父と娘」に家庭内の近親相姦の被害児童の話が2つあります。

幼い頃から父親、祖父の性の相手をさせられ、母親も同じだったので、それが当たり前だと思っていた、という証言があります。

代々そういうことが繰り返されていました。娘は自分が異常だという疑いを持ち、発覚しました。

 

もう一冊「尊属殺人罪が消えた日」(1987)がありますが、現在は図書館でお読みいただくしかありません。

 

1968年、14歳の時から父親にレイプされ5人子供を産み(2人は死亡)3人育ててきた娘が、家から逃れようとして父親に暴力を振るわれて絞殺しました。

当時は尊属殺人(この場合は父親殺し)に重罰規定があり、執行猶予なし、死刑または無期懲役とされていました(刑法200条)。仮に情状酌量されたとしても執行猶予はありません。

 

この事件を担当した弁護士は、娘の母親の証言により悲惨な事実を裁判で訴え、高裁で執行猶予なしの有罪判決を受けたものの、最高裁で尊属殺を違憲とする執行猶予判決を勝ち取りました。

 

この事件を契機に1995年の刑法改正で尊属殺はなくなりました。裁判の中で高裁の判事は父親の行為を「大昔なら当たり前」と説明しています。父親の行為は昔から行われていたこと、父親の青春も考えろと被害者に諭す一幕がありました。

腹立たしいことですが、そういう現実があったことを知る一つの材料になります。

https://cyzowoman.jp/2013/02/post_7940_1.html

https://business.nikkei.com/atcl/report/15/120100058/120200001/

 

レイプや買春について、自分の娘にできるのか、と加害男性に問いかける人がいますが、それが行われてきた現実があります。

今はネットで可視化されましたが、昔から続いていることです。