編集者になりたくて出版社に入っても、希望通りに行かないことがあります。下積みをして営業から編集に移った人も、編集から営業に回された人も知っています。結果を出した人が評価され編集長になります。結果を出せない人もいますが全部が漫画家の責任とは言えません。
新人で何もわからないうちについた担当編集者が連絡をくれない、打ち合わせをすっぽかすということがあれば、漫画家としては、無能だから捨てられたという気持ちになります。ただ、新人だけでなく、連載作家にも連絡をきちんとしない、打ち合せに出て来ず家にいた、という人がいました。この場合は問題は編集者の側にあります。他の編集者や同じ担当の漫画家ともコンタクトを取った方が、事情がわかるようになります。パーティなどの機会は逃さずに顔を出した方がいいと思います。そして、そのようなトラブルの続く人が異動になることもあります。
うまくいかない時に、全部自分が悪いと思い込んで身動きが取れなくなることがありますが、別の人と話してみることで事態が改善するかもしれません。これは私自身の経験ではありませんが、担当編集者の交代を編集長に要求した人もいます。その人は新人とは言えないもののまだキャリアは浅い若手でした。新人でも、困った時に他の編集者、編集長に相談することが禁じられているわけではありません。様々な理由で、自分から担当替えを願い出る漫画家は他にもいました。
私は編集者に没にされたネームがどうしても諦められず、他の雑誌、他の会社に持ち込んで採用され、結果もよかった、という経験があります。没ネームの再生は何度かあります。再評価を求める権利はあります。没にした人にばれると顰蹙は買いますが、元が没でしたから、持ち込みは自由です。金もない土壇場では、こちらは仕方ありません。編集者も大変なことはわかりますが、恨みっこなしであってほしいと思います。なお、私は編集者に嫌がらせをされたことは一度もありません。それほどの者でないと言えばそれまでですが。